注文住宅の施主支給を工務店が嫌がる3つの理由 | 「住宅設備」の選び方を知りたい

「施主支給をするとコストが抑えられる」という情報を聞いたり、「お気に入りのコレを付けたい!」と思ったりすることがあるでしょう。それは問題ありませんし、施主支給自体が悪いわけではありません。しかし、工務店側の気持ちを考えずに施主支給を要求しすぎると、いわゆる「面倒な施主」になってしまって関係性がギクシャクする恐れがあります。そこで、今回の記事では施主支給を工務店が嫌う理由を紹介します。

今回は以下を詳しく解説していきます。

施主支給する時の注意点

どうしても自分で入れたいものがある場合は、引き渡し後に入れられないか考えるのがおすすめ。引き渡し後であれば自分の家になっているので、「工務店の標準仕様に入っているものを付けなくて良いです」と言うだけです。それであれば、工務店側も特に嫌がる理由はありません。

どうしても引渡し前に工事に入れてほしい場合は、しっかり工務店に確認してください。なかには「Instagramで見たように、私たちも施主支給したい!」と言う人もいますが、それはInstagram内の工務店がやってくれているだけです。自分のお願いしている工務店が対応してくれているか分からないので、必ず確認してくださいね。それでも工務店が「いいよ」と言ってくれる場合はお願いすれば良いですし、断られたら無理強いしないのが基本スタンスです。

工務店が施主支給を嫌がる理由

理由①利益が取れないから

施主支給は、施主から頼まれたものを受け取るだけでボランティアになり、工務店の利益になりません。もちろん施工費はもらいますが、それでは割に合いません。

通常、工務店は施主側が購入するエンド価格よりも安い卸価格で仕入れることができます。その安い金額で仕入れて利益を乗せて施主に提示しても、施主からすると普通にエンド価格で購入するよりも安くなります。

このような構造で工務店は利益を確保しているので、エンド価格で売られたものをそのまま持ってきて施工費だけ乗せても、工務店側で割に合わないのは当然のことです。このように利益がほぼ取れないので、工務店側は施主支給を嫌がります。

理由②工事中の管理責任が発生する

このように施主支給は工務店側の利益になりませんが、管理責任が発生してしまいます。たとえば施主支給品が破損した場合は、工務店側の責任になる可能性が高いでしょう。そのため、工務店としては「確かにこちらがぶつけて破損したかもしれないけど、この施主支給品に関しては一切利益ももらっていないし、赤字かもしれないのに責任が発生するなんて!」という気持ちになってしまいます。

理由③施主支給品の受け渡しが面倒

さらに、施主が施主支給品を持ってくるスケジュールに合わせて、工務店側も現場に行かなければなりません。往復の時間もかかりますし、その時間には目に見えないコストが発生します。

上記の3つの理由があるため、なるべく施主支給を受けたくない工務店が多いです。それでもサービスとして施主支給を受けてくれる工務店もあります。施主側としては、それを「当然」と思わずに、「ありがとうございます」という気持ちでお願いすることをおすすめします。

「せやまさんといっしょ」の場合

「せやまさんといっしょ」は、YouTubeの撮影許可などを条件に、私が間取り作成を含めて家づくりを全面的にサポートしている企画(関西限定)です。

この「せやまさんといっしょ」では、施主支給は原則NGです。トラブルの元になりますし、工務店側にも申し訳ないので、施主支給は行っていません。

ただし、引き渡し後に施主自身で取り付けできるものに関してはOKです。たとえば鏡や照明、簡易的に取り付けられる棚、トイレのペーパーホルダーの取り付けなどはOKにしています。工務店側へ事前に「該当するものを付けないでください」と案内をした上で実施しています。

一方、工事中の施主支給に関しては基本的に断っています。ただし、「外壁に穴を開けて傘をかけるフックを付けたい」という要望のように、引き渡し後に施主側が工事するのは不安という場合に限り、施主支給を受けています。

とはいえ、一般的な施主支給ではなく施主が指定するものを工務店側が仕入れて、利益や施工費を乗せて価格提示をする形で行っています。つまり施主が直接買って施工するよりも、割高になってしまいます。それでもOKな場合のみ、承認しています。

これはあくまでBE ENOUGHの企画でのスタンスですので、工務店に施主支給をお願いする場合は、その工務店のスタンスを確認してくださいね。

せやまさんと一緒の詳細に関しては、ぜひこちらもご確認ください。

関連記事:「せやまさんといっしょ」の詳細について

質問:せやまさんは、工務店の味方なんですか?

このような話をすると「結局、工務店の味方なの?」と言われることがあります。ただ、BE ENOUGHは基本的に施主の味方です。施主にとってメリットがある、デメリットがないような仕組みづくりをしています。

ただし、それを受けてくれる工務店にメリットがない仕組みを作ったら、「せやま印工務店プロジェクト」を続けていくことはできません。変な工務店ばかりになってしまい、施主に対して変な工務店しか紹介できなくなります。

BE ENOUGHは施主のことを第一に考えつつ、工務店側にとってもメリットがある仕組みを作り、継続していくことが目標です。

そのため、工務店側の気持ちも理解した上で、施主と工務店が良好な関係を築けるようにしていきたいと考えています。「自分はお客様だ!」という態度の施主は良い工務店に嫌われ、変な工務店に好かれる、というように行いの結果が自分に返ってきて悪循環に陥ってしまいます。「施主の方が偉い」「施主支給くらいやって当たり前」というスタンスではなく、「お互い様」という対等な関係の中で、お互いにできる限り協力していくのが理想のスタンスです。

ただし、施主の方が情報的に不利だったり分からないことが多かったりするので、これからもBE ENOUGHは施主向けの情報を多く発信していきます。

まとめ

工務店が施主支給を嫌がる3つの理由

  1. 工務店の利益にならない
  2. 工事中の管理責任が発生する
  3. 施主支給品の受け渡しが面倒
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せやま印工務店とは?

PROFILE

注文住宅の施主支給を工務店が嫌がる3つの理由 | 「住宅設備」の選び方を知りたい

せやま大学の人

瀬山 彰

大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。

「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。

娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。

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