2024.11.30
今回の記事で紹介する設備や間取りを提案する工務店があったら、さすがにヤバいです。「そんな絶滅危惧種の設備や間取りを紹介する工務店はさすがにないでしょ!」と思うかもしれませんが、工務店は良い工務店と悪い工務店の差が激しいです。悪い工務店は「今までのやり方が正解だから変えたくない」と考えているので危険です。そんな工務店の言うことを鵜呑みにして家を建てると暑くて寒くて臭い不健康住宅になるでしょう。さらに5~10年経つと莫大なメンテナンス費用がかかったり、相談したら工務店が倒産していたりするリスクがあります。
そこで、この記事では「家づくり絶滅危惧種TOP10」を、現代の生活に合わなくなってきた理由と一緒に紹介します。そのデメリットを理解した上で採用するのは構いませんが、デメリットを理解せずに採用することがないように気をつけてくださいね。
今回は以下を詳しく解説していきます。
目次
家づくり絶滅危惧種 第10位:お風呂の巻き蓋(無断熱浴槽)
最近はあまり見かけませんが、巻き蓋+無断熱浴槽はおすすめしません。断熱浴槽ではなく、無断熱浴槽に巻き蓋だとお湯が冷えてしまいます。断熱浴槽と断熱蓋は、現代生活の必需品です。【せやま基準一覧表】でも、★★★の項目にしています。必ず入れてくださいね。
よくある質問
質問:住宅設備で、他に絶滅危惧種はありますか?
乾燥機能付きウォシュレットも、今では絶滅危惧種です。乾燥に時間がかかりますし、洗って乾かすだけでは汚れは完全に取れませんよ。
家づくり絶滅危惧種 第9位:バルコニー
どうしても外干ししたい人はバルコニーを付けても良いですが、花粉やPM2.5の飛散量が多く、共働きの家庭が増えていることや乾燥機が普及しているという理由で、最近の洗濯物は部屋干しが主流です。
どうしても設置したい場合は、しっかりメンテナンスをしてください。面倒なら板金防水がおすすめです。
ただ、外干しをしたい場合はリビングの窓の外に物干し金物を付ける方法もあります。そういう選択肢も頭に入れた上で、それでもバルコニーを入れるかどうか検討してください。
家づくり絶滅危惧種 第8位:勝手口
昔は庭に食材を置いておいて取りに行ったり、換気機能がそれほど優れていなかったので、こまめにゴミを出して臭い対策をしたりするために使われていました。ただ、最近は家の中に食材を置きますし、きちんと換気をしていれば、生ゴミの臭いはそんなに気になりません。
「子どもが汚れて帰ってきた時に勝手口から入ってほしい」と言う人もいますが、大体の子どもは勝手口ではなく玄関から帰ってきます。
勝手口を作るとコストもかかりますし、防犯面にも不安があります。また、東や西に勝手口があると、日差しで暑くなる恐れもあります。
このようなリスクを理解した上で入れるならOKですが、原則としては勝手口は不要ですよ。
家づくり絶滅危惧種 第7位:シートの床材
昭和~平成にかけて、シートの床材が流行りました。ただ、ちょっと風合いが悪かったり傷みが早かったりして、最近問題になっています。最低でも1階に関しては、木の皮を薄く取って表面に貼った突板(単板)がおすすめです。
ちょっと予算的に余裕があれば、無垢の床とか挽板の方がおすすめです。無垢床は本物の板で、挽板は突板よりも厚みのある板を表面に貼っています。無垢と見分けがつかないくらい良い挽板もありますし、無垢板よりも高い挽板もありますよ。
1階くらいは無垢板もしくは挽板にするのを、家にお金をかけたくない私でもおすすめします。
無垢床の注意点は?
無垢床には、オイル塗装とウレタン塗装という2つの塗装方法があります。オイル塗装(自然系)だと、半年~1年に1回の頻度でオイルの塗り直しが必要です。風合いは良いですが家具などを置いてある場所で塗り直しをするのは大変なので注意してください。ちゃんとやれる人じゃなければ、オイル塗装はやめた方が良いですよ。
「ズボラだけど無垢床にしたい」という人には、ウレタン塗装がおすすめ。オイル塗装よりも風合いは落ちますが、問題ないでしょう。
挽板に関しては基本的にウレタン塗装されているので、メンテナンスも楽です。反りもなくて安定しているので、施工性が良いというメリットもありますよ。
家づくり絶滅危惧種 第6位:スレート屋根
化粧スレートと呼ばれる屋根はやめた方が良いですよ。10年程度で割れるリスクがありますし、雨漏りリスクも高いです。さらに、20~30年経ってくるとメンテナンスもできないため、張り替えをするか上から別のものを被せるカバー工法が必要になります。
なかには「30年保証」「30年色褪せしない」という化粧スレートもありますが、性能を担保しているわけではないので、おすすめしません。
よくある質問
質問:瓦も絶滅危惧種ですか?
瓦はすごく耐久性が高い商品ですし、デザインも良いのでアリです。ただ、重量があるので構造を強くしなければなりません。瓦を付けるなら、ちゃんと構造計算する必要があることは覚えておいてくださいね。
おすすめの屋根は?
私のおすすめは、ガルバリウム鋼板(塗膜15年保証)の屋根です。軽くて耐久性も高く、メンテナンスもしやすいですよ。
下葺き材もメンテナンス性の高いものを選んでください。改質アスファルトルーフィングがおすすめです。一番安いアスファルトルーフィング940は使わないようにしてください。
家づくり絶滅危惧種 第5位:天窓(トップライト)
昭和~平成にかけて流行った設備ですが、天窓は雨漏りのリスクが高いですし、上から日差しが入ってくるので暑いです。どうしても採光が取れない場合はダメではないですが、天窓がなくても採光基準を満たせる間取りにする方が断然良いです。
家づくり絶滅危惧種 第4位:親子扉
子扉はほとんど使いません。荷物搬入も掃き出しの窓から入れれば良いので、シンプルな親扉だけの玄関扉にしてください。
よくある質問
鍵のおすすめは?
鍵はリモコンキーがおすすめです。ポケットに鍵を入れておけばボタンで開くので便利ですよ。車だってリモコンキーが主流なので、シリンダー錠はおすすめしません。最近では顔認証やスマホキーも増えていますし、玄関は最低でもリモコンキーにするのがおすすめです。
家づくり絶滅危惧種 第3位:長い廊下
昔の家は断熱性能が低く、廊下で各部屋を区切って暖房効率を上げていたので長い廊下がありました。ただ、今の家は断熱性能が上がっていますし全館空調という考え方も普及してきたので、長い廊下は必要ないです。
1階は基本的に廊下をなくしましょう。2階もなるべく階段を中央にあげて廊下を短くして、居室や収納の有効面積を増やしていくのが、1階完結型「せやまどり」の基本です。
よくある質問
質問:客間は必要?
客間は最近ではなくなってきています。そんなにお客さんも来ませんし、親戚が集まる機会も少ないです。家族を優先して間取りを作りましょう。時々来るお客さんには、リビング併設で2.5P×2.5P(1P=91cm)で約3畳のミニ和室があれば十分です。
「仏壇を置きたい」という場合はそういう和室も必要ですが、基本的に客間は必要ないでしょう。家族を優先してください。客間は家族が普段使うスペースとしても使えるような間取りにするのがおすすめですよ。
家づくり絶滅危惧種 第2位:窓の換気框
換気框(かまち)とは、窓の上に隙間が開いていて、そこから換気をするものです。窓の換気框と換気扇を使う三種換気はダメです。色々なところに穴が開いていたら計画換気できませんし、窓から窓に空気が流れて換気扇から空気が抜けなくなってしまいます。つまり、換気できる部屋と換気できない部屋のバラつきができてしまう恐れがあります。換気できない部屋は不健康住宅になるのでやめた方が良いですよ。
おすすめの換気は?
そもそもパイプファンによる換気は適切に行えないリスクが高いのでおすすめしません。換気は、ダクトを使ってシロッコファンで行うのがおすすめです。ダクト排気型の第三種換気、もしくはダクト排気型の第一種換気にしてください。おすすめは、ダクト排気型一種換気の「sumika」です。
ダクトレスのパイプファンによる換気システムはおすすめしません。
家づくり絶滅危惧種 第1位:アルミサッシ
アルミサッシはおすすめしません。せめてアルミ樹脂複合サッシにしてください。BE ENOUGHではオール樹脂サッシを強く推奨しています。
窓は一番熱が逃げやすい場所なので、アルミを使ってはいけません。結露しますし、夏は暑くなります。
窓の必須仕様
- オール樹脂サッシ
- Low-Eペアガラス(アルゴンガス充填)
- 樹脂スペーサー
窓の断熱性能に失敗したら、家づくりも失敗してしまいます。上記の仕様を基本として考えてください。
これにプラスしてUA値 断熱等級5以上、C値0.7以下、ダクト排気型換気(できれば1種、全熱交換型)を入れれば、家の中の温熱環境・空気環境はバッチリです。家の性能を整えた家づくりをしてくださいね。
まとめ
家づくり絶滅危惧種TOP10
- 第10位:お風呂の巻き蓋(無断熱浴槽)
- 第9位:バルコニー
- 第8位:勝手口
- 第7位:シートの床材
- 第6位:スレート屋根
- 第5位:天窓(トップライト)
- 第4位:親子扉
- 第3位:長い廊下
- 第2位:窓の換気框
- 第1位:アルミサッシ