2024.12.07
給湯器の「エコキュート」は、そもそもどのような特徴やメリットがあるのでしょうか。また、「おひさまエコキュート」は、普通のエコキュートとどのような違いがあるのでしょうか。給湯器の選び方や特徴、「おひさまエコキュートは本当に得なのか」ということを紹介していきます。
後悔しないエコキュート選びをしましょう!
本記事の内容は、YouTube動画でも分かりやすく解説していますので、こちらもご覧ください!
参考動画:【絶対お得は嘘!】おひさまエコキュートも徹底検証<後悔しない給湯器の選び方>
目次
後悔しないエコキュートの選び方
エコキュートとは、高効率電気給湯器といい、深夜の安い夜間電力を利用して給湯したり、ヒートポンプというエアコンと同じような仕組みでエネルギーを有効活用し、コストを抑えて給湯してくれるものです。
ただ、給湯器は住宅会社もあまり選び方を教えてくれなかったり、標準仕様のまま決まったりすることが多いものです。ただし、そうすると住んでから湯切れになって「シャワーが浴びられない!」なんてなったり、「追い焚き機能がついてないなんて聞いてないよ!」とか「シャワーの水圧が弱い」なんてなったりします。
ただし、エコキュートの選び方はそれほど難しくありません。なので、ポイントを押さえて仕様をチェックしていきましょう。
後悔しないエコキュートの選び方のポイントは、以下の4つです。
- 基本スペック
- 圧力
- 容量
- 形状
上記の項目を、それぞれ詳しく見ていきましょう!
エコキュートの選び方①基本スペック
エコキュートには、大きく分けて3つのグレードがあります。呼び方はメーカーによっても微妙に異なりますが、基本的には【給湯専用】、【オート/セミオート】、【フルオート】の3種類に分けられます。
①給湯専用
この「給湯専用」は、蛇口からお湯が出るタイプです。最近はあまり見かけませんよね。このグレードを選んでいる住宅会社や工務店があるとしたら、「標準仕様スペックがやばいな」という感じです。
②オート/セミオート
このグレードは、追い焚き機能はありますが、その追い焚きに使う「配管自動洗浄機能」がありません。また、メーカーによっては追い焚き機能がない機種もあります。「最低でも追い焚き機能があれば良い!」という場合はこのグレードでもダメとは言いませんが、配管が汚れてしまうので、やはりフルオートの方がおすすめです。
③フルオート〔推奨〕
私としてはこのグレードを推奨します。なぜかというと、「追い焚き機能」と、「配管自動洗浄機能」がついているからです。この2つの機能がついていると大体フルオートなので、おすすめです。
追い焚き機能は、まず必要ですよね。お湯が冷めたら温めたいですし、家族ごとにお風呂に入るタイミングがズレることは当然ありますので、追い焚き機能があると便利です。また、追い焚きの配管は放っておくとめっちゃ汚れるので、使うたびに綺麗にしてくれる機能はあった方が良いと思います。
エコキュートの選び方②圧力
これはシャワーとかの水圧にかかわるポイントですね。これが弱いとストレスになってしまいますよね。これも、2つのタイプに分かれます。
①(普通の)高圧
いわゆる基本レベルの水圧を、どこのメーカーも「高圧」と呼びます。ただし、圧力を見ると、200kPa前後です。170kPa~210kPaくらいが多いですね。ただし、これは「高圧」と書いてあるもののベーシックタイプです。これだとちょっと水圧が弱いので、「高圧」というネーミングを見ずに圧力の数字をチェックしてください。このグレードだとシャワーの勢いが弱かったり、お湯張りのスピードが遅かったりします。なので、個人的にはスペック不足だと思っています。
②パワフル高圧〔推奨〕
これもメーカーによって名前が異なりますが「パワフル高圧」のような名前で呼ばれています。こちらは圧力を見ると、大体300kPa前後ですね。270kPa~320kPaくらいが多いです。これが本当の高圧です。これならシャワーの水圧も良いですし、お湯張りのスピードも速いので、あまりストレスが溜まりません。普通の高圧とあまり金額も変わらないので、こちらのグレードを選ぶのがおすすめですよ。
エコキュートの選び方③容量
これは気にする人が多いですよね。お湯を貯めておける量に関係する数値です。こちらもグレードは色々ありますが、よく使われるのは370Lと460Lです。
①370L〔推奨〕
基本的には、こちらの370Lで良いと思います。子ども2人の4人家族とか、「子どもは3人いるけど、あまりシャワーを使わない」という家庭では、こちらで十分でしょう。
②460L
一方、6~7人家族だったり、4人家族であっても「朝からシャワーを全員使う!」というような家庭なら、370Lだとお湯切れを起こす可能性があるので460Lタイプがおすすめです。このお湯の使う量というのは、調べてみたら色々な給湯器メーカーさんのサイトに載っているので、自分の生活スタイルや「どのくらいお湯を使うのか」という点で判断してもらえればと思います。
ちなみに、シャワーヘッドを選ぶ場合には、手元でオン・オフできる節水タイプにしてください。普通のシャワーヘッドは水がじょばじょば出るので、お湯切れの原因になるんです。「お湯の中に空気が入って節水できます!」みたいなタイプも良いんですが、これだとそもそも出てくるお湯の量が少なくてシャンプーが洗い流しづらいというデメリットがあります。なので、こまめにシャワーを止められる節水タイプにすればお湯切れを防ぐことができて、給湯器の容量も大きくせずにすみますよ。
エコキュートの選び方④形状
これは選ぶというより、敷地によって決まることが多いでしょう。
①角型〔推奨〕
こちらはベーシックなほぼ正方形のタイプですね。低コストですので、置ける場合はこのタイプにしてください。
②薄型
ただし、狭小地で家の周りのスペースが少ない場合には、薄型のエコキュートにしてください。ちょっと割高になりますが、間取りを優先するとこちらの薄型にしなければならないこともあるでしょう。ちなみに、後ほど紹介するおひさまエコキュートには、この薄型タイプがありません(2023年8月現在)。なので、狭小地でスペースが取れない方はおひさまエコキュートが使えないことを覚えておいてください。
エコキュートのよくあるQ&A
ここで、エコキュートに関するよくある質問に2つ答えていきます。
①”エコキュート”と”エコジョーズ”、どちらが得?
エコキュートは電気、エコジョーズはガスの給湯器ですね。メリットやデメリットは調べてもらったら出てくるので割愛しますが、結論としてはコンロに合わせて選んでもらえば良いでしょう。
コンロがIHなのか、ガスコンロなのかは、結構好みが出るポイントです。効率や掃除面を考えるとIHの方が絶対良いでしょう。汚れた空気による上昇気流も起きませんし、掃除も楽ですし、エネルギー効率も良いので、特にこだわりがなければIHがおすすめです。こちらのコンロを選ぶ人は、エコキュートにすれば良いでしょう。
ただし、鍋をぎゃんぎゃん振りたいという人もいますし、ガスコンロには自動調理機能に優れているものもありますよね。そうったものを使いたいという人はガスコンロになっていくので、エコジョーズにすれば良いでしょう。
それぞれのスペックを比較すると、以下の通りです。
これらを見ると分かる通り、ほぼ互角なのでコンロに合わせて選んでください。ただし、エコキュートの場合は圧力には注意して、300kPa前後のものを選ぶようにしてください。また、エコジョーズにもサイズがあり、主に20号と24号があります。ただ、20号は二人暮らしなどの少人数向けのものなので、原則的には24号を選ぶのがおすすめです。
②追い焚きと足し湯、どちらが得?
これはちょっとマニアックな質問ですが、ぬるくなったお風呂のお湯を温めたい時に、「追い焚き機能」を使うのか「足し湯機能」を使うのか、どちらの方が得なのか、という質問ですね。
追い焚き機能とは、浴槽のお湯を一度タンクの方に戻し、温めてから浴槽に戻す機能なので、お湯の量自体は変わりません。一方、足し湯は浴槽のお湯はそのままにしておいて熱いお湯を足すので、お湯の量が増えます。
これでどっちの方がお得ですか、という質問ですが、答えは「どっちもどっち」です。好みに応じて使い分けて良いでしょう。「お湯を温める」ということに限った理論上の話で言うと、足し湯の方がエネルギー効率が良いみたいです。というのも、追い焚きはタンク内のお湯の温度が下がってしまうので、その都度こまめに焚き上げなければならず、ちょっとエネルギー効率が悪いんです。ただ、足し湯としてもデメリットがあって、こちらは新しい水が要るので水道代がかかります。こういったところを考えると計算が複雑になり、メーカーの技術者の方も細かなデータを持っていませんでした。なので、やっぱり好みで選んでください。
おひさまエコキュートは得なのか?
おひさまエコキュートというのは、日中の太陽光発電による電気を利用した給湯器です。2009年頃には48円/kWhだった売電価格が、今は16円/kWhくらいになっているので、「日中発電した電気は、売らずに自分の家で使った方が良いじゃん!」という考えから、給湯に使うのがおひさまエコキュートですね。このおひさまエコキュートについて、詳しく説明していきます。
おひさまエコキュートの費用対効果は?
通常のエコキュートというのは、深夜料金時(早朝)に発電するので、日中はほぼ発電しない設定になっています。この日中の発電割合の設定を最大80%くらいまで上げているのがおひさまエコキュートなので、モノ自体はそれほど変わっていません。発電するタイミングを中で調整しているエコキュートですね。
このおひさまエコキュートが得なのかというと、色々なメーカーのサイトを見たところ年間で6,000~8,000円くらい得だと記載しているサイトが多かったんです。なのでおひさまエコキュートの寿命を12~13年くらいだとすると、寿命までに10万円ぐらい得する計算ですね。
本当にそんなに得するの?
ちょっと怪しいなと思ったので、とあるメーカーさんにお願いして、生のデータを引っ張り出して計算してみました。条件としては太陽光5万kWくらいで、関西電力の「はぴeタイムR」という電気代との比較をしました。深夜料金が安いところとの比較なので、厳しめに結果が出ています。
その結果、通常のエコキュートとおひさまエコキュートの差は、メーカーのカタログほどは出ませんでした。使い方によっても差が出るかもしれませんが、おひさまエコキュートの方が年間4,000~5,000円くらい得になる結果になりました。おひさまエコキュートの寿命を12~13年くらいだとすると、寿命までに5~6万円ぐらい得する計算ですね。
これを聞くと「12~13年で5~6万円なら、大したことないな」と思う人も多いかもしれませんね。実際、おひさまエコキュートの方が普通のエコキュートよりも初期費用が高いので、この差額が5万円以内ならおひさまエコキュートにした方が良いでしょう。ただし、おひさまエコキュートにはお金以外のメリットもあるので、そちらを求めておひさまエコキュートにするのは全然アリだと思います。
おひさまエコキュートのメリットは?
おひさまエコキュートのメリットは、給湯した時点から入浴までの時間が短いので、タンク内でお湯が冷めていくことを防げます。また、日中はどちらかと言えば暑いので、これもお湯が冷めにくい外部的な要因ですよね。ただ、これでどのくらい電気代が得になるかといえば、微々たるものだと思います。
エコキュートは運転する時に微弱な低周波音がして、近隣トラブルになることもたまにあります。ただ、日中に給湯するおひさまエコキュートであれば周りの音の方が大きいので、そんなに気になりません。こういう夜間の騒音が軽減できるのも、おひさまエコキュートのメリットですね。
おひさまエコキュートのデメリットは?
①初期費用
おひさまエコキュートのデメリットは、初期費用が高くなることです。工務店やハウスメーカーにもよりますが、おひさまエコキュートの仕入れが弱い会社だと、エコキュートとの差額が10万円出るというところもあります。十数年で5~6万円しか得にならないので、これだと意味がないですよね。なので、差額は5万円以内が導入の目安になると思います。
②天候に左右される
また、雨や曇りの日が多いと太陽光発電の効果が薄くなります。ただしおひさまエコキュートは日中に給湯する設定になっているので、日中の高い電気を使わなければならず、損をしてしまいます。このように天気によって損をする可能性がありますが、ずっと雨の日が続くこともないので、十数年で5~6万円は得ができるでしょう。
③ラインナップが少ない
また、おひさまエコキュートには寒冷地仕様のものや、狭小地用の薄型ラインナップがありません。メーカーによっては、300kPa前後のパワフル高圧タイプもないこともあります。こういった点にも注意してくださいね。
おひさまエコキュートのよくあるQ&A
おひさまエコキュートに関する主な質問にも3つ答えていきます。
①メーカーによって仕様は違う?
メーカーによって仕様が違うのかとよく聞かれますが、先ほども紹介した通り異なります。水圧の設定も違いますし、日中の発電割合の設定も微妙に違うようです。ここの発電割合の設定まではチェックしなくても良いと思いますが、おひさまエコキュートだと水圧が200kPa前後のノーマルタイプになる可能性もあるので、300kPa前後のタイプかどうかはチェックしてくださいね。
②通常のエコキュートとの差額はいくら?
これも先ほど紹介しましたが、工務店の仕入れ力で変わってきます。ただ、普通のエコキュートとの差額が5万円までなら、おひさまエコキュートへの変更はアリでしょう。それ以上だと損する可能性もあるので、やらないのがおすすめです。
③太陽光搭載量は何kWがベスト?
「日中の発電電力を使うなら、太陽光の搭載量も増やすべき?」と質問されることもあります。私としては日中に使う電気のことを考えたら、4~5kWを推奨しています。ただ、おひさまエコキュートを入れるんだったら、+1kWくらい増設して、5~6kWにするのがおすすめです。「7~8kWにした方が良い!」という人もいますが、計算すると日中の給湯の上限は決まっているので、そんなに増やしても得になりません。仮に得になったとしても、それほど大きな額ではないでしょう。ただし、この太陽光搭載量を増やすために2階の面積を広くしたら元も子もないので、無理にするほどではありません。
また、余談ですが電気自動車を使う場合は、さらに電気を使いますよね。なので「もっと太陽光搭載量を増やした方が良いんじゃない?」と言う人もいますが、大体1kWhで平均6kmくらいは走ります。なので、年間6,000km走るなら1kWh増やすイメージです。年間12,000km走るなら、太陽光パネルの枚数を2kWh増やす感じですね。これが電気自動車をつける場合の太陽光パネルの増加分の目安になると思います。今後電気自動車の効率が上がれば変わるかもしれませんが、参考にしてください。
まとめ
エコキュートの選び方は?
- エコキュートの推奨スペック
→基本スペック・圧力・容量・形状を見て選ぶ - おひさまエコキュートはお得?
→初期費用の差額が5万円以内ならおひさまエコキュートでOK