2025.05.25
最近は総合住宅展示場に行って住宅会社を選ぶ人は、ほぼいなくなりました。逆に流行っているのが、SNSやインターネットで情報を集める「工務店紹介サービス」。第三者が色々な基準を作り、工務店と施主を橋渡ししていくビジネスです。ただ、これにも問題があります。たとえば「工務店から紹介会社に支払われる報酬(フィー)を施主の金額に上乗せされている」「審査基準はあったけど、実際は大したことがなかった」「紹介を受けるまでは良かったけど、契約後のサポートがなかった」「リアルな口コミが出てこない」という満足度の低さがトラブルにつながっています。
私たちBE ENOUGHは、「せやま印工務店プロジェクト」を通じて、工務店紹介サービスに潜む“闇”を洗い出し、施主が不利益をこうむることなく、メリットを最大限に享受しながら、信頼できる工務店と出会うにはどうすればよいのかを追求してきました。年間400組、累計1,100組以上のマッチング実績と、顧客満足度95%以上を誇る本プロジェクトを運営する立場から、今回は工務店紹介サービスの「本当のメリットとデメリット」をお伝えします。工務店紹介サービス自体は良いものなので、より施主のためになって、家づくりが効率的になるツールとして活用してください。
今回は以下を詳しく解説していきます。
目次
工務店紹介サービスの仕組みとは?
色々な住宅会社の話を聞くと、施主は「誰の言うことを信じたら良いのか分からない」となりがちです。「鉄骨が良い」「木造が良い」や「工務店が良い!」「ハウスメーカーが良い」などと言われ、訳が分からなくなります。そこで「じゃあ、第三者に相談して自分に合う会社を紹介してもらった方が選択の精度が高そう」ということで工務店紹介サービスが生まれました。
ただし、工務店紹介会社は工務店やハウスメーカーからお金をもらっています。そのため報酬をくれる相手の悪口を言いにくいという構造的な問題があります。その結果、施主に本音で本当に大事なことを伝えられないという現状があります。
さらに、工務店やハウスメーカー側からすると、施主と契約した際に、紹介会社に〇%かを契約時報酬として支払うケースが多いです。「自社集客をしたらお金はかからないのに、紹介会社経由の場合、仮に売り上げの5%だったとして、2,500万円だと125万円取られる」ということになります。そこで、施主側の金額に上乗せしたり、契約時だとバレるので契約後の追加費用を割増しにするという構造的な問題もあります。
このような問題があることを理解した上で、工務店紹介サービスを使う際に施主側が考えておくべきなのは、どこまでいっても家づくりは自己責任ということです。工務店紹介会社のことを信用しすぎないでください。せやま印工務店では事前審査は厳しいですし、担当者や現場監督も審査し、与信の調査や紹介後の悪い口コミも全て開示しています。それでも最終的には施主の自己責任です。信用しすぎず、自分で決めることだという意識を持てない人は、工務店紹介サービスを利用したり家を建てない方が良いです。紹介会社を参考にしても、最終的に決めるのは自分という意識をしっかり持ってくださいね。
工務店紹介サービスの種類
①カウンター型
商業施設の中などに相談窓口が入っていて、実際に担当者と会って相談ができる紹介サービスです。
メリットとしては、担当者に会えることと紹介数が多いことです。工務店やハウスメーカーの登録自体は大体が無料になっているので、登録している会社が多いです。複数の工務店やハウスメーカーを紹介してもらえます。
一方、紹介する会社の基準はめちゃくちゃ甘いです。せやま基準のような細かな性能基準や金額の上限はありません。直接行くよりはマシなものの、あまり選択の精度は上がりません。
また、このサービスは成果報酬として、3~5%くらい工務店やハウスメーカーが支払います。その結果、金額に上乗せされるリスクがあるので、契約前にしっかり資金計画を固めてくださいね。
②間取り作成型
アフィリエイトなどを絡めてやっている会社が多いです。Web上で間取りを提案してもらうことができます。
メリットとしては、間取り図が届くこと。また、工務店やハウスメーカの登録数も多いため、ある程度の紹介数が担保されます。
デメリットとしては、あくまで間取りでしかないこと。家のスペックに関してはノータッチです。さらに住宅会社側から見ると薄い集客、つまり、ただ間取りが欲しいだけの問い合わせで契約につながる可能性が低い、だから本気の間取りを描いて提出することが少なくなってしまいます。仮に良い間取りが届いても、その間取りを他の会社に持っていかれては意味がないので、住宅会社もそれほど本気にはなってくれません。
③商品提供型/定額制型
「もともと工務店や住宅会社がやっていたことを他社にも展開しよう」ということで、住宅会社がビジネスとしてやっているパターンで、最近増えてきています。
メリットは標準仕様が明記されていることです。「断熱等級は5、耐震等級は3をクリアしていて、樹脂サッシです」のように、性能基準や標準仕様が網羅、明記されています。カウンター型や間取り作成型に比べると、仕様の制限がかかっているのが良い点です。さらに定額制になってくると、金額の目安が分かります。
ただし、その表記金額では家は建ちません。金額の根拠となる間取りが「総二階で軒ゼロ、窓も収納も扉も少ない間取り」「敷地内の給排水や付帯工事は別途」となっているので、金額の目安はあっても、その通りになりません。加盟している工務店側も地場の工務店なので、与信は各自で判断した方が良いです。与信まで厳しく調査している会社はあまりないので、注意してください。
④性能基準型
性能に特化した工務店や、それに特化したインフルエンサーが発信しているものです。
メリットは性能面が担保されることです。窓、断熱、気密、換気、耐震といったところをメインに基準にして、それのクリアを条件に工務店登録を募集しています。性能を担保している会社を見つけたい場合におすすめです。勉強熱心な工務店が多いのも良い点です。
ただし、あくまで性能の一部分しか基準になっていないので、記載外の仕様が一切分かりません。また、性能への意識が高い分コスト意識が低い会社が多いです。商品提供型同様に小さな工務店が多いので、与信の調査はしてください。その他、担当者の審査がなかったり、契約後のリアルな口コミが分からないというデメリットはあります。あくまで「入口の精査をしてもらっている」という気持ちで、残りは自分たちの目で見極めるという意識を持ってくださいね。
⑤担当者紹介型
担当者を紹介してもらえるパターンもあります。
メリットは担当者が分かるので、ヤバい担当者に当たるリスクが減ります。せやま印工務店も、元は営業担当だけの紹介でやっていました。ただ、間取りを描く人によって家づくりの成否が変わるということでプランナーの紹介も始め、現場が始まってから揉めることも多いということで現場監督まで担当制にしたという経緯があります。このように、担当者を指名するのは非常に良いです。
ただし、担当者の審査基準が不明瞭というデメリットがあります。せやま印工務店でも担当者を増やした方が工務店にとって良かったり、紹介できる工務店が増えると、私たちBE ENOUGHの売り上げも上がりますが、そのために審査基準を甘くすることはしていません。ただし、多くの担当者紹介型では、規模が大きくなればなるほど担当者を審査するレベルや質は下がっていきますし、細かなチェックは大変になります。このように担当者の見極めをしっかりするのは構造的に難しい背景もあるので、施主はあくまで参考程度にするという意識を持ってください。
⑥ネームバリュー露出型
これは直接工務店を紹介するのではなく、各分野の著名専門家が監修しているタイプです。工務店やハウスメーカーのホームページに顔を掲載している人たちがアドバイスをしてくれます。
メリットは、技術指導が直接入っているので、一定の性能が担保されています。ただし「ネームバリューのある人が載っているから、その工務店が大丈夫」というわけではありません。あくまでコンサル・指導に入っているだけということは覚えておいてくださいね。
⑦せやま印工務店型
せやま印工務店のデメリットは、窓口がないこと。直接お話ができないのは、カウンター型と比べるとデメリットです。また、まだ全国で65拠点(2025年5月現在)しかなく全国の網羅率が78%なので、残り20%超のエリアは紹介ができません。1社しか紹介できないエリアもあるなど、数が少ないのが弱点です。また、登録時に間取り作成をしないので物足りなさを感じる人もいるかもしれません。
メリットは、工務店紹介サービスの闇を改善するために動いているため、性能基準や標準仕様が担保されています。価格の上限が決まっていることも、画期的です。もちろん営業、プランナー、現場監督といった担当者の審査をしてエースを揃えてもらっていますし、与信の調査も毎年行っています。さらに、口コミは悪いものも含めて全て後輩クルーに開示しています。
これに対して「工務店にとってのデメリットが多いから怒られないの?」と言われることもあります。ただ、これらのことは良い工務店にとっては全然問題ないことです。口コミを出してもらっても困らない工務店にとっては、最高の仕組みです。工務店に忖度せず、質の担保をしています。また、報酬が上乗せされるリスクが怖かったので「契約時報酬」ということをしていません。1軒ごとに紹介料として数万円いただくことで、利益を取っています。そのため上乗せ報酬のリスクも少ないです。
もちろん完璧ではなく、トラブルが起きたり仕組み上の問題も発生するためこれからも進化を続けていかなければならないプロジェクトです。ただ、世の中にある工務店紹介サービスがもっと良くなるよう、先駆者として良い仕組みを作り、より施主の皆さんが効率的な家づくりをできるようにしています。