2024.11.14
BE ENOUGHでは基本的に建売をあまりおすすめしていませんが、最近は土地や建物の価格が上昇しているため、注文住宅を建てるのが難しくなっています。また、建築条件なしの土地もほとんど見つからない状況なので、建売を選択肢に入れざるを得ないケースもあります。そこで、今回は「せやま流の建売のすすめ」として、「こんな建売がおすすめ」「建売を買うなら、ここをプラスアルファするのがおすすめ」というポイントを紹介します。
世の中の建売の99%は微妙な性能なものが多いので、知識をつけずに買うと失敗してしまいます。建売を考えている人はもちろん、注文住宅や土地探しが予算の面で厳しくなっている人は、メリット・デメリットを理解した上で賢く選択するための参考にしてください。
今回は、以下を詳しく解説していきます。
目次
建売住宅 vs 注文住宅
建売住宅と注文住宅、それぞれの特徴
- 建売住宅
〇:価格が安い
〇:良い土地が見つけやすい
△:住宅性能が低い - 注文住宅
〇:住宅性能が高い(会社による)
△:土地探しが困難
△:価格が高い
家の性能面は注文住宅の方が良いですが、前述の通り土地探しが難航しますし、価格が高くなるので大変です。一方、建売はコストが落ちますし、良い土地が買えるので立地優先なら良いですが性能面が弱点です。これらのメリット・デメリットを考えると、どっちつかずになって迷っている人も多いのではないでしょうか。
ただ、そもそも家づくりは別に注文・カスタムが必須ではありません。車やパソコンもこだわりがある人はカスタムしますが、私は既製品で十分満足しています。それと同様に、家も情熱があって自由にカスタマイズをしたい人は注文住宅を建てる必要があります。ただし、世の中の大半の人は「トイレの壁紙選びたい!」と思っていません。「選べるなら選ぶけど、どうしてもお金を払ってまで選びたいかと言われると、そこまでではない」「賃貸住宅もそのまま住んでいるわけだし、別にこのままで良い」という人が多いでしょう。
そのため、理想を言えば「カスタムはできないけれど性能が担保されている家」が究極の”ちょうどいい塩梅”です。
ただし、残念ながらそんな家は今ありません。今後、「せやま印建売」を建てればできるのかもしれませんが、現在の建売の99%以上は性能面を担保していないです。
そこで、建売を買う場合の賢い買い方を紹介します。
コストの考え方
建売を買う際に、今から紹介することをやると価格が上がります。そう聞くと「建売でも、結局は価格が高くなるのか」と思うかもしれませんが、注文住宅で家を建てようと思うと建築条件付の土地の「建築条件を外す」ことが必要になります。それをするだけで1坪あたり10万円、つまり30坪だと300万円くらい高くなります。
これを考えると、建売の建築条件付きの工務店さんで建てることを決断するだけで、数百万円の費用が浮きます。その数百万円を使って性能を担保しにいってください。そうすれば注文住宅で建てた場合よりも価格は安くなりますし、立地は良くなります。
そう考えて、今から紹介する9つのチェックポイントをクリアしてください。それをクリアした建売を選ぶ、あるいはクリアしていない場合はオプションになっても良いので、変更して家を建てることをおすすめします。
建売の賢い買い方のポイント9つ
①窓
基本的にはオール樹脂サッシのLow-Eペアガラスに変更してください。変更が難しい場合は、樹脂サッシの内窓を付けるのがおすすめです。これによって、家の温熱環境が抜群に良くなりますよ。
②断熱性能
これはクリアしている建売が増えてきていますよ。断熱等級5をクリアしてくださいね。温暖地(5~8地域)であればUA値0.6以下をクリアしてください。これは普通にクリアできる値ですよ。
また、建売の場合は屋根の対策をしていないことが多いので注意してください。上からの夏の暑さ対策がめちゃくちゃ弱いです。屋根は壁の断熱性能の2倍にしてください。
③玄関ドア
玄関ドアをD4・K4という温暖地仕様にしていると、冬に結露するので注意してください。建売住宅で結露している家は非常に多いので、ここは最低でもD2・K2クラスにしてください。
窓と同じで、開口部でミスをしてしまうと、夏は暑く、冬は寒い家になってしまいます。建売であろうと注文住宅であろうと、開口部にはお金をかけてくださいね。
④気密性能
(出典:日本ウレタン断熱協会)
気密性能を担保している建売住宅はないでしょう。ただ、最近はウレタンの吹き付けを使う業者が増えています。ウレタンの吹き付けであれば気密性能がとれますよ。とはいえ、気密測定をしていないことが多いです。
必ず気密測定をしてもらって、C値1.0以下を目指してください。せやま基準であれば0.7ないしは0.4以下を目指すように話していますが、慣れない業者がそこまでやるのは難しいです。
まずはC値1.0以下を目指してください。1.0を下回ると計画換気が成り立ってくると言われる数値なので、最低でも1.0以下、できれば0.7以下を担保してもらうよう、交渉してください。
⑤換気システム
換気システムも少しハードルが高いポイントです。基本的にはダクトレスの三種換気が付いていますが、ダクト式三種換気もしくはダクト式一種換気にしてもらうように交渉してください。一種換気にすると価格が高くなることがあるので、ルフロやピアラなどのダクト式三種換気で十分です。
ダクトレスの換気システムは排気ファンがパイプファンなので、非常に弱いです。トイレやお風呂といった狭い空間だけの換気なら良いですが、家全体の換気に使うには全然パワーが足りません。その結果、家の中の空気が淀んでカビが生えたり、ハウスダストや二酸化炭素が適切に排出されずに不健康な建売住宅になることがよくあります。
⑥屋根材
化粧スレートは絶対にやめてください。最低でもガルバリウム鋼板にするのがおすすめです。それに加えて、下葺き材(ルーフィング)にも注意が必要です。
下葺き材に「940」という最低グレードの材料を使っている業者が多いですが、これはいけません。下葺き材は改質ルーフィングがおすすめです。
ガルバリウム+改質ルーフィングにしても、それほど高くはありません。ガルバリウム鋼板も普及してきて予算も下がっているので、ぜひクリアしてくださいね。
⑦シロアリ対策
シロアリに来られると家は本当にボロくなるので、基礎の下に敷く防湿シートに注意してください。標準は透明なシートが多いですが、グレーのシートに変えてもらってください。防蟻性能が付いた防湿シートがおすすめです。
(出典:九州テクノ工販)
具体的には、厚みがあって性能面が担保できているのでターミダンシートがおすすめです。基本的に防湿シートと施工の方法は変わらないので、業者も対応しやすいですよ。
⑧耐震性能
「耐震等級を取ってください」とだけ言うとややこしいですが、「長期優良住宅を取ってください」と言えば対応してもらえるでしょう。長期優良住宅をとろうとすると、性能表示計算での耐震等級が3、許容応力度計算での耐震等級は2もしくは3が必要になります。
そのため「長期優良住宅を取ってください」と言えば、自然とある程度の耐震性能も担保されるので、そのように依頼してくださいね。
⑨間取り
良い間取りの建売はなかなかないです。ですが、とにかく1階完結型の間取りがおすすめです。1階にリビングがあって、なるべく1階に収納が充実している間取りを選んでください。土地が狭いからといって、安易に2階リビングになっている間取りや、1階にリビングがあるのに水回りは2階にあるような間取りはおすすめしません。
1階にリビング、水回り、そして収納がある間取りにしてください。できればミニ和室もほしいですが、無理ならなくても構いません。リビング、水回り、最低限の収納が1階にある間取りの建売を選んでくださいね。
まとめ
建売の賢い買い方ポイント9つ
- 窓
- 断熱性能
- 玄関ドア
- 気密性能
- 換気システム
- 屋根材
- シロアリ対策
- 耐震性能
- 間取り