『大手ハウスメーカー神話崩壊は間もなく』 ~大手ハウスメーカーで家を建てるメリットを考える~

『大手ハウスメーカー神話崩壊は間もなく』 ~大手ハウスメーカーで家を建てるメリットを考える~ | 住宅業界の“闇”を知っておきたい
(TBSハウジング 渋谷WEBサイトより)
 
 

大手ハウスメーカーなら安心!と思ってしまう理由

かみ砕くと、大手ハウスメーカーの家は有名で価格が高い!有名で価格が高いということは、良い家に違いない!大手ハウスメーカーは良い家を建ててくれるはず!間違いない!と、こんな感じでしょうか。大手ハウスメーカーの営業マンが、会社の大きさを武器にトークしているという面もあると思います。
 
また、人間は、知っているものを味方と認識し、味方の言っていることを正しいと判断する性質があります。逆に言うと、知らないものを敵と認識し、敵の言っていることを間違っていると判断する性質があるということです。この性質をうまく使っているのが、大手ハウスメーカーのCM・総合展示場戦略です。CMや総合展示場で認知度を高めることで、知っている→味方→正しい、という洗脳を仕掛けていると言えます。
 
 
 

大手ハウスメーカーが施主に知られたくない事実

大手ハウスメーカーの定義は様々ですが、例えば、大手ハウスメーカー=鉄骨プレハブメーカーとすると、気密性能は低いことがほぼ確定してしまいます。これまで大手ハウスメーカーで家を建てた方には申し訳ないのですが、鉄骨住宅=低気密住宅という事実は、住宅関係者であればほとんどの人が知っています。鉄骨プレハブメーカーの家で、高気密高断熱の最低基準とも言えるC値1.0以下をうたっている会社はないかと思います。確認してみてください。
 
次は窓です。鉄骨プレハブメーカーで、オール樹脂サッシを標準採用している会社はほぼありません。オール樹脂サッシより結露しやすいアルミ樹脂複合サッシををわざわざつけています。
 
この理由は正確にはわかりませんが、プレハブ住宅は、工場で組み立てるため、窓の仕様が変わると製造ラインの大改造が必要だということも関連しているのかな?と思っています。窓は家の性能の肝。最も大切といっても過言ではありません。
 
 
 

木造ハウスメーカーは?

木造の大手ハウスメーカーであれば、鉄骨ハウスメーカーの弱みである気密性を確保することができますが、建材ごとに確認すると、さほどグレードが高くない建材を採用していることが多いです。基礎が布基礎だったり、換気システムが3種換気だったり、普通によくあることです。
 
窓・断熱・気密・換気の住環境4要素をおさえている、木造ハウスメーカーは、現在存在しません。窓・断熱・気密までは、木造ハウスメーカーなら実現可能です。一日でも早く、換気のメンテナンスまで行き届いているハウスメーカーが出てきてほしいと思います。でてくれば、私は全力でその会社を応援しようと思います。
 
 
また、大手ハウスメーカーは、販売棟数が多いので、小さな工務店より安く建材を仕入れることができるはずです。よく、CMをしているからハウスメーカーの家は高いんだ!という方がおられますが、1棟あたりの広告費で考えると、販売棟数が多い分、そんなに大きくないのでは?と思います。
 
 

なぜハウスメーカーの家は高い?

建材仕入れが安く、1棟あたりの広告費も高くなく、建材のグレードもさほど高くないハウスメーカーの家。では、なぜハウスメーカーの家は高いのでしょうか?それは、利益率の設定が圧倒的に高いことが要因だろうと思われます。営業マンは、年間3~4棟販売すれば、黒字化すると言われることがありますが、逆算すると利益率はえげつないことになります。ここではよう言えない利益率です。
 
ハウスメーカーが大幅な価格交渉に応じるのも、この利益率の設定が影響していると思われます。これまでの経験だと、10%くらいは余裕で値下げしてきますし、家が大きくなると、15~20%くらいの価格ダウンをしてくる会社もありました。そこまで値下げできるってことは、最初の利益率どないやねん!と思ってしまうのは私だけでしょうか?
 
(さすがに50%OFFする会社はないと思いますが・・・)
 
 

では、ハウスメーカーで家を建てるメリットはないの?

そんなことはありません。知名度があるということは、無形の安心感を受けることになりますので、例えば二世帯住宅で、親が知名度のある会社でないとだめだ!となれば、ハウスメーカーの価値は生まれてくると考えています。
 
また、耐震等級などに代表される国の制度は、大手ハウスメーカーの仕様で取得しやすく設計されているので、等級や認定をたくさんとりたい!というニーズを持っている方にも価値があるかもしれません。棟数あたりの人員も多いため、サービスが手厚い可能性はあると思います。企業差があるので何とも言えませんが。
 
無形の安心感、等級・認定、サービスが大手ハウスメーカーのメリットとするならば、それはブランド物のバックに構造がよく似ています。ブランド物のバックは、ブランドがあるから価値が高く、ブランドがなくなれば同じ質のバックでも価値が下がります。錯覚価値が高く、実態価値が低いなんていう言い方をします。
 
大手ハウスメーカーの家も同じで、実態の家の質はさほど高くないですが、ブランドと認知度があるため価値が高いと判断されているということ。まさに錯覚価値が高く、実態価値が低いという構造になっているわけです。
せやまが

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PROFILE

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せやま大学の人

瀬山 彰

大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。

「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。

娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。

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